通勤中の交通事故は割と頻繁に起こりますが、その事故で労災を申請しようとすると、会社から渋い顔をされることがあります。

「相手の過失が大きい事故で、なんでうちの会社の労災使わなきゃいけないんだ」「使ったら会社が何か不利益被るんじゃないの？」というようなものです。

ただこれらの大部分は誤解に基づくものです。

労災を使った場合の、会社の主なデメリットは、「労働基準監督署から睨まれる（つまり検査とかが入りやすくなるということです）」「労災保険料が上がる」というものですが、まず前者については、業務場所での事故とかならともかく、通勤中の交通事故で労基から睨まれることは通常ありません（よほど過酷な労働をさせて、過労からの交通事故が頻発してるとかなら話は別ですが）。

後者についても、まず小規模事業はメリット制（労災保険料が、支払保険金の額によって上下するシステム）の対象外ですし、大規模事業者であっても、通勤中の災害については労災保険料に反映されません。

従って、通勤中の交通事故に関し、労災保険を使うことによる会社側のデメリットはほぼないと考えてよいでしょう。

むしろ使わせてあげることにより、会社の評判が上がり、従業員の愛社精神もアップするというようなメリットが考えられます。

会社側も、「意地悪で使わせない」なんて人はまずおらず、渋るのはたいてい上のような誤解に基づくものですので、ちゃんと説明してあげると、使わせてくれることも多いです。

まあそもそも、労災に保険金を請求するか否かの決定権は従業員にあり、会社が拒むことはできないんですけどね。